高校から大学の数学科,数理科学科に進んだとき,殆どの方が高校までの数学と大学の数学は質的に違うと感じるでしょう.大学の数学は用語の定義を正確に覚え,定理の意味を理解しようと奮闘しながら,ひたすら証明の論理を追うことの繰り返しです.大学の数学に慣れ親しみ,勉強していく上で必要になる論理的な思考を身につけるために,実数の公理系から集合の上限 sup, 下限 inf そして ε-δ論法を題材として勉強して行きます.
2 基礎的だけど忘れられがちなトピック
選択公理, Hausdorff極大原理, Zornの補題, 整列可能定理
よく利用される割には同値性の証明が見つからないので,この順に1周しつつ証明して見ました.
Sperner の補題と Poincare-Mirandaの定理
長方形の中を通り上下の辺を結ぶ曲線と左右の辺を結ぶ曲線は必ず交点を持ちます. 簡単なように見えて証明は容易ではありません.
初学者は徒に証明を追い求めることなく, この事実は一旦認め先に進んだほうがよいとか,何を証明したらよいのか訳が分からぬ定理とまで言われて敬遠されてきた定理ですが, 琉球大の前原先生による短い証明があります.
1章 Jordan の曲線定理
2章 単純多角形に関するシェンフリースの定理
3章 平面内の単連結領域 (Riemann 球面内の領域について 単連結性 <=> 補集合が連結)
逆関数の定理の縮小写像を用いた証明
Hilbert 曲線, Koch 曲線, snow flake などの曲線を LaTeXにpython のコードを埋め込んで描く.
Gauss の驚異の定理
パラメータ表示された3次元空間内の曲面について第1基本形式,第2基本形式, Christoffel 記号などの式表示を求め,最後にGauss 曲率が第1基本形式の2階までの偏微分で表されるという Gauss の驚異の定理を計算で示します.
単調函数が殆どいたる所微分可能であること
絶対連続函数について微分積分学の基本定理がなりたつこと
よく使われる割には証明が省かれがちな事実を
rising sun lemm や Vitali の被覆定理を用いて証明する
4 最後に専門である複素解析関連のトピック
2022年1月5日(水)
2021年9月 東北大学情報科学研究科における集中講義
内容:
1 Spernerの補題と Poincare-Mirandaの定理, Brouwerの不動点定理
2 平面集合の組み合わせ的幾何
3 Alexanderの補題と Janiszewski(ヤニシェフスキー)の定理
4 領域の不変性とJordan の曲線定理, Jordan 領域の回転数
5 PL-Schoenflies の定理
6 単連結性の必要十分条件
7 Riemannの写像定理
8 Caratheodoryの拡張定理とSchoenflies の定理
2014年3月2日
内容: 題名そのもの
書きかけ.
複素解析に Loewner理論というものがありまして,時間とともに増加する単連結領域への写像函数が満たす偏微分方程式を研究します.これを複連結な領域に拡張すると普遍被覆写像のLoeewner理論が出来上がります. これを函数論の入門を終えた方向けに解説します.
Ahlfors の名著について, 書きかけなのと間違いもあるので信用しないで
Ahlfors の Conformal Invaritants を精読するセミナーを2023年の春から開始しました. 半年過ぎてもまだ1章の半分も終わっていません.やり過ぎとは思いますが,学部生でも理解できるくらいに,そしてその後の進展も加えてノートをまとめるともとの本の10倍くらいに膨らんでしまいます.これからもゼミを続け,ファイルは随時更新する予定です.
質問, ご要望は
hiroshi@yamaguchi-u.ac.jp